遺産分割調停のポイント⑤特別受益

遺産分割調停のポイント⑤特別受益

1 はじめに

  遺産分割の調停では、当事者から、特別受益の主張がなされる場合があります。このコラムでは、特別受益についてとりあげます。

2 特別受益

  民法903条1項は、特別受益の要件として、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるとき」と規定しています。
 

3 特別受益を受けた者の相続分

  特別受益の受けた者の相続分について、民法903条1項は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする旨規定しています。
 
  もっとも、民法は、遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを越えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない旨規定しています。
  なお、遺贈、贈与の価額と遺産の評価額によっては、遺留分の問題を生じる場合もあります。
 

4 持戻し免除の意思表示

  また、民法は、持戻し免除の意思表示について規定しています。民法903条3項は、被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する旨規定しています。

5 遺産分割の調停と特別受益

  遺産分割の調停において、当事者から、特別受益の主張がなされる場合があります。
  一方、特別受益を受けた当事者から、持戻し免除の意思表示があった旨の主張がなされる場合があります。
  調停は、話し合いの手続きですので、最終的には、遺産分割について合意できるか否かがポイントになります。
 

6 まとめ

  遺産分割、特別受益について分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。