遺産分割調停のポイントを弁護士が解説

遺産分割調停とは

遺産分割協議がなかなかまとまらない場合、話し合いに参加をしない相続人がいるような場合などには、相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停の申立てをすることが可能です。

 

遺産分割の調停は、原則として、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
遺産分割調停では、家庭裁判所にある調停室で、調停委員が間に入り、相続人間の話し合いを行ないます。

 

調停における話し合いの進行は、相続人が一堂に会して話し合うのではなく、相続人が交互に自分の主張を調停委員に伝え、調停委員を通じて主張をしたり、意向を伝えます。申立人と相手方の控室も別々です。

 

遺産分割調停のポイント①相続人の範囲

ここでは、遺産分割調停のポイントについてご説明します。 このコラムでは、まず、相続人の範囲について説明します。
 

遺産分割の調停において、まず、相続人の範囲が問題となります。
相続人の範囲の問題は、大ざっぱに言えば、誰と誰の間で遺産を分割するかという問題です。

遺産分割の申立ての際、戸籍謄本等を添付しますので、まず、戸籍謄本等で相続人の範囲を確認します。

もっとも、例えば、被相続人と養子縁組がなされていても、一部の相続人が、養子縁組が無効であると主張する場合もあります。養子縁組の無効の主張がなされ、相続人の範囲に争いが生じると、この点について、人事訴訟において、養子縁組が無効か否かを確定する必要があると考えられます。

遺産分割について分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

 
 

遺産分割調停のポイント②遺言の有無

遺産分割調停のポイントとして、ここでは、遺言の有無を取り上げます。
 
遺産分割調停においては、遺言の有無が問題となります。
遺言は、主に、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が必要です。
公正証書遺言の有無は、被相続人の死亡後、法定相続人が、公証役場に問いあわせをすれば、原則として、その存在の有無、存在する場合には、その内容が分かります。
遺言が存在し、遺言にすべての遺産を誰に相続させるか記載されている場合には、原則として、遺産分割の問題になりません。
また、遺言が存在し、一部の遺産を誰に相続させるか記載されているにとどまるときは、原則として、遺言に記載されていない遺産について、遺産分割の対象となります。
遺言が存在するものの、一部の相続人が、遺言の無効を主張し、相続人間で遺言が有効か否かについて争いがある場合には、通常、遺言無効確認の訴訟を提起することになると思います。
遺産分割調停、遺言について分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

遺産分割調停のポイント③遺産の範囲

遺産分割調停手続きについて、このコラムでは、遺産の範囲をとりあげます。
 
遺産分割の対象となる財産は、原則として、被相続人の所有であり、かつ、現存している財産です。
遺産分割調停の相手方が、遺産分割調停の申立書に添付された遺産目録以外に遺産があることを主張する場合には、通常、遺産が現存する旨の主張と、遺産の存在を裏付ける資料が必要になると思います。
遺産の範囲に争いがある場合には、一部の法定相続人が原告になって遺産確認の訴えを提起する場合もあります。
また、調停委員会が主体的に遺産を探すことはありませんので、原則として、遺産分割調停の当事者の方が、遺産が現存することを主張し、資料を提出する必要があります。
遺産分割調停について分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

遺産分割調停のポイント④遺産の評価

遺産分割の調停手続においては、遺産の評価が問題となる場合があります。

ここでは、不動産と株式についてとりあげます。

1 不動産

遺産分割調停においては、不動産が遺産分割の対象となる場合があります。不動産の評価については、固定資産評価額、相続税評価額などを参考に当事者間で評価額について協議する場合が多いです。 
不動産の評価額について、当事者間で合意に達すれば、通常、合意した金額が不動産の評価額になります。 
もっとも、相続人間で評価額について意見が一致しない場合、家庭裁判所が選任する鑑定人が不動産を鑑定する場合があります。
なお、不動産の鑑定は、審判手続に移行した後に行われる場合もあります。

2 株式

遺産分割の調停手続においては、株式が遺産分割の対象となり、株式の評価が問題となる場合があります。
上場株式であれば、評価額について争いとなる場合は、少ないと思います。もっとも、非上場株式であれば、評価額について、争いとなる場合もあると思います。
 
遺産分割調停、遺産の評価について分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

遺産分割調停のポイント⑤特別受益

1 はじめに

  遺産分割の調停では、当事者から、特別受益の主張がなされる場合があります。このコラムでは、特別受益についてとりあげます。

2 特別受益

  民法903条1項は、特別受益の要件として、「共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるとき」と規定しています。
 

3 特別受益を受けた者の相続分

  特別受益の受けた者の相続分について、民法903条1項は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前三条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする旨規定しています。
 
  もっとも、民法は、遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを越えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない旨規定しています。
  なお、遺贈、贈与の価額と遺産の評価額によっては、遺留分の問題を生じる場合もあります。
 

4 持戻し免除の意思表示

  また、民法は、持戻し免除の意思表示について規定しています。民法903条3項は、被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する旨規定しています。

5 遺産分割の調停と特別受益

  遺産分割の調停において、当事者から、特別受益の主張がなされる場合があります。
  一方、特別受益を受けた当事者から、持戻し免除の意思表示があった旨の主張がなされる場合があります。
  調停は、話し合いの手続きですので、最終的には、遺産分割について合意できるか否かがポイントになります。

遺産分割調停のポイント⑥寄与分(法定相続分の修正)

寄与分が問題となる類型としては、
家業に従事したことを主張する類型、
被相続人の療養看護をしたことを主張する類型、
被相続人に対し、金銭等を出資したと主張する類型
などがあります。
例えば、家業に従事したことを主張する類型では、通常、無償性が必要になりますので、家業に従事しても、労務の提供に見合う給与を得ていた場合には、通常、寄与分は認められないと思います。このコラムでは、スペースの都合上、各類型についての説明は、ここまでとしたいと思います。
 
 
寄与分が認められる場合、寄与分が認められる相続人の相続分は、原則として、(相続開始時の財産ー寄与分)×法定相続分+寄与分となります。
寄与分の主張をする場合、寄与分を定める調停の申し立てをすることが通常だと思います。

遺産分割調停のポイント⑦誰がどの遺産を取得するのか

 遺産分割調停においては、誰がどの遺産を取得するのか、合意をする必要があります。法律で定められた相続分を参考にしながら、遺産分割をすることが多いと思います。

 

 もっとも、調停は、大ざっぱにいえば、家庭裁判所での話し合いの手続きですので、全員が合意をすれば、法律で定められた相続分と異なる遺産分割をすることも可能です。

 遺産分割の方法には、現物分割、代償分割、換価分割などの方法があります。

 現物分割とは、遺産をあるがままの姿で分割する方法です。
 代償分割とは、一人又は数人の共同相続人に相続分を超える遺産を現物で取得させ、かわりに法定相続分以上の遺産を取得した相続人に、法定相続分に満たない遺産しか取得しない相続人に対する債務を負担させる分割方法です。

 
 換価分割とは、遺産の全部又は一部を換価し、対価である金銭を相続人間で分配する分割方法です。
 調停が成立するためには、誰がどの遺産を取得するかを決める必要があります。また、例えば、代償分割の場合、代償金として、誰が誰に対していくら支払うかについても、合意する必要があります。

遺産分割調停のポイント⑧調停の成立

 遺産分割の調停において、当事者全員が合意に達すると、通常、裁判官の面前で合意の内容を確認し、調停調書を作成します。

 

 
調停が成立した後、調停調書正本(または謄本)に基づき、例えば、不動産を取得することになった相続人が、不動産の登記をしたり、預金を取得することになった相続人が、預金の解約などをします。
 
また、例えば、代償分割の場合、代償金を支払う側は、受け取る側に対し、調停で合意した内容にしたがって、代償金を支払うことになります。
 
また、調停の成立に際しては、清算条項を入れることが多いと思います。
 
遺産分割調停について、分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。

遺産分割調停のポイント⑨調停の不成立

調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができます。この場合に、遺産分割調停事件は、審判手続に移行すると考えられます。
 
家事審判事件に移行した後は、家事審判事件として手続きが進められます。
遺産分割調停について、分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。