遺留分侵害額請求権とは何ですか?

事務員:民法(相続法)改正前は、遺留分減殺請求権(いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん)という権利でしたが、相続法の改正により、どのような権利になったのですか?

 

弁護士:遺留分侵害額請求権(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅうけん)という名称になりました。

 

事務員:遺留分減殺請求権から、遺留分侵害額請求権になることで何が変わりましたか?

 

弁護士:少し専門的な話になりますが、遺留分減殺請求権は、その行使の結果、物権的(ぶっけんてき)な効果があります。

 

事務員:物権的効果?

    具体的には、どのような意味ですか?

 

弁護士:例えば、遺産が自宅の土地、建物だけであり、法定相続人が、被相続人の子である長男と二男であり、長男にすべての財産を相続させる旨の公正証書遺言があると仮定します。

    このようなケースで二男が長男に対し、遺留分減殺請求をしました。

 

事務員:なるほど。

 

弁護士:そうすると、遺産である自宅の土地、建物について、遺留分減殺請求権を行使した結果、長男と二男が共有になるという効果が生じます。

 

事務員:すごく大きな効果ですね。

 

弁護士:これが物権的効果という意味です。

 

事務員:それでは、長男の側にお金で解決する方法はないのですか?

 

弁護士:価額弁償という制度がありました。

 

事務員:これが遺留分侵害額請求権になるとどうなるのですか?

 

弁護士:遺留分侵害額請求権は、金銭債権になります。

 

事務員:なるほど。不動産が共有になるという効果は生じないのですね。

 

弁護士:はい。

    権利の性質が大きく変わったので、名称も変わりました。

 

事務員:遺留分侵害額請求権について、もっと勉強しよ。

    遺留分について分からないことがあったら、弁護士さんに相談したほうがよさそうですね。