遺留分を侵害する遺言について、遺言無効の訴訟を提起する場合、遺留分侵害額請求をしておいたほうが良いですか?

私の父は、1か月前に死亡しました。

私の父の相続人は、私と兄です。

私の兄は、私に対し、私の父の残した公正証書遺言を見せました。その公正証書遺言には、私の父のすべての遺産を私の兄に相続させる旨の記載がされていました。

私は、私の父の残した公正証書遺言の内容に納得できません。

私は、私の兄に対し、遺留分侵害額請求をしたいと思います。

もっとも、私は、現在、私の父の遺産の内容を調べており、遺産の内容をほとんど把握できていないため、遺留分侵害額の計算ができません。

私は、遺留分侵害額請求をするにあたり、金額を明示する必要がありますか?

最高裁判所の裁判例には、「被相続人の財産のほとんど全部が贈与されていて遺留分権利者が右事実を認識しているという場合においては、無効の主張について、一応、事実上及び法律上の根拠があって、遺留分権利者が右無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかったことがもっともと肯定しうる特段の事情が認められない限り、右贈与が減殺することのできるものであることを知っていたものと推認するのが相当というべきである。」旨判示したものがあります。

もっとも、実務上は、「特段の事情」は、容易には認められないと思われますので、「仮に公正証書遺言が有効であったとしても」と前置きをしたうえで、遺留分侵害額請求の意思表示をすることが通常であると思います。

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