【Q&A】遺産相続により相続人の共有となった不動産と共有物分割請求の訴え

ご質問

私の父は、昨年死亡しました。
私の父の法定相続人は、私と私の弟です。私の父の遺言は、ありません。
私の父の遺産は、私の父が住んでいた土地、建物と預金です。
預金は、わずかな金額であり、遺産の大半は、土地、建物です。

私は、弟と遺産分割の協議をしましたが、まとまりませんでした。
私は、共有物分割の訴えという制度があることを知りました。
私は、家庭裁判所に遺産分割の調停や審判の申し立てをすることなく、共有物分割の訴えを提起することができるのでしょうか。
 

弁護士の回答

被相続人が死亡し、遺産に不動産があり、遺産分割の協議がまとまらないときには、
通常、不動産について共有物分割の訴えを提起するのではなく、
遺産分割の調停の申し立てをすることになると考えられます。
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最高裁判所の裁判例には、
「遺産相続により相続人の共有となった財産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家事審判法の定めるところに従い、家庭裁判所が審判によってこれを定めるべきものであり、通常裁判所が判決手続で判定すべきものではないと解するのが相当である。

したがって、これと同趣旨の見解のもとに、上告人の本件共有物分割請求の訴えを不適法として却下すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができ」る旨判示したものがあります。

なお、この裁判例は、昭和62年に判決がされた裁判例です。

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