遺留分減殺請求と取得時効

遺留分減殺請求と取得時効

質問

被相続人が、相続人の一人に不動産を生前贈与し、これが特別受益に該当する場合、贈与から10年以上経過して、被相続人が死亡しました。遺留分権利者が、遺留分減殺請求をするにあたり、不動産の贈与を受けた者は、当該不動産を取得時効により取得したことを理由に、遺留分減殺請求を拒むことができるのでしょうか。
 

 

弁護士からの回答

最高裁判所(最判平成11年6月24日)は、「贈与に基づいて目的物の占有を取得し、民法162条所定の期間、平穏かつ公然にこれを継続し、取得時効を援用したとしても、それによって、遺留分権利者への権利の帰属が妨げられるものではない」旨判示しています。

遺留分減殺請求権は、被相続人が死亡してはじめて権利行使ができます。

遺留分を侵害する贈与がされてから被相続人が死亡するまでの間に取得時効の期間が経過した場合には、取得時効が認められるとすると、遺留分減殺請求権者は、時効中断をする法的手段のないまま、遺留分に相当する権利を取得できない結果となり相当でないと考えられます。

 
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