【弁護士コラム】遺留分減殺請求権行使の順序

遺留分減殺請求権行使の順序

遺留分減殺請求権の行使に順序はあるのでしょうか。まず、贈与と遺贈の間には、順序があるのでしょうか。

 

民法は、贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない旨規定しています。したがって、贈与と遺贈の間では、遺留分減殺請求権行使の順序としては、遺贈が先になります。なお、相続させる旨の遺言により財産を取得した場合、遺留分減殺請求権行使の順序としては、遺贈と同順位と考えられます。
  寺部先生.png
次に、複数の遺贈がある場合、民法は、遺贈は、その目的の価額の割合に応じて減殺する旨規定しています。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う旨の規定があります。

目的の価額の意味について、相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合においては、その遺贈の目的の価額のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみが、民法1034条にいう目的の価額に当たる旨判示した裁判例があります。

 

次に、複数の贈与がある場合、民法は、贈与の減殺は、後の贈与から順次前の贈与に対してする旨規定しています。