特別寄与料とは、なんですか?

事務員:改正民法で、特別寄与料が認められたと聞きましたが、特別寄与料とは、なんですか?
 
弁護士:まず、条文から確認をしましょう。
    民法1050条第1項は、
    「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。」
    旨規定しています。
 
事務員:従来は、どうでしたか?
 
弁護士:従来は、特別の寄与が認められる者は、相続人に限られていました。
    したがって、相続人以外の者が特別の寄与をしても、寄与分は、認められませんでした。
    例えば、被相続人の長男の妻が被相続人の療養看護について、特別の寄与をしても、条文上、相続人でない長男の妻自身には、寄与分は、認められません。そこで、長男の妻の寄与行為を長男の寄与分の主張のなかで考慮するという主張がされる場合もありました。
    もっとも、この場合でも、長男が先に死亡した場合には、被相続人の遺産に関し、長男の妻の寄与行為を考慮することは困難と考えられました。
 
事務員:一生懸命療養看護につとめて、相続人が行えば寄与分が認められるのに、相続人でないというだけで、遺産に関し、何ら権利が認められないのはかわいそうな気がします。
 
弁護士:今回の民法改正により、被相続人の親族(相続人等民法で規定する者を除きます)に特別寄与料の制度が認められるようになりました。
 
事務員:相続人は、特別の寄与をした場合には、どうすれば良いですか。
 
弁護士:寄与分の主張をします。
 
事務員:この規定は、いつから施行されるのですか?
 
弁護士:令和元年7月1日からです。
    施行日前に開始した相続については、改正前の法律が適用されます。