侮辱、暴行を加える子に相続させたくない場合

侮辱、暴行を加える子に相続させたくない場合

私は、会社員として働いていましたが、既に退職をしています。
私は、現在、年金収入で生活しています。
私の妻は、昨年、死亡しました。
私には、長男と長女がいます。
私の長女は、近所に住んでいて、時々、自宅に来て、私の身の回りの世話をしてくれています。私の長男は、離れた場所で生活しています。私の長男には、子はいません。

私の長男は、私の家に来ては、お金を要求し、私がお金を渡すことを拒絶すると、私をげんこつで殴ったり、私を侮辱するような言葉を大声で怒鳴ったりします。

私は、私の財産を全て長女に相続させ、長男には相続させたくないのですが、どのような方法があるのでしょうか。
 

弁護士の回答

例えば、長女に全ての財産を相続させる旨の遺言を書くことが考えられますが、長男には、遺留分があるため、相続開始後、遺留分を主張される可能性があります。
 
民法は、推定相続人の廃除の制度を規定しています。
民法は、遺留分を有する推定相続人が被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる旨規定しています。

したがって、推定相続人である長男の廃除を家庭裁判所に請求することが考えられます。

また、民法は、遺言で推定相続人の廃除をする意思を表示することを認めています。
遺言で推定相続人を廃除する場合、遺言が効力を生じた後、遅滞なく、遺言執行者が推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。

もっとも、暴言等があった場合、直ちに推定相続人の廃除が認められるとは限りません。相続権を失わせるだけの非行があったか、家庭裁判所が審理をして、判断をすることになります。

推定相続人の廃除について、分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。