寄与分の問題

寄与分の問題
 

長年寝たきりで本来であればヘルパーなどを雇わなければならない状態の親を相続人の1人がヘルパーを雇うことなく自ら介護し続けていた場合、財産の減少を防いだと評価され、寄与分が認められる場合もあります。   IMGP2516.jpgのサムネール画像

「寄与分」はあくまで法定相続人についてのみ認められるものです。そのため、例えば被相続人の長男の配偶者の場合には、いくら被相続人の療養看護に努めたとしても、養子縁組をしない限り、法定相続人に該当しませんので、一般的に寄与分は認められないので注意が必要です。

しかし、裁判上では、そのような長男の配偶者の寄与は、長男の寄与として考慮されたケースもあります。また、内縁の妻は、法定相続人ではありませんので、一般的に寄与分の主張は認められません。

寄与分が認められるのは以下のような場合になります。

共同相続人中に
①被相続人の事業に関する労務の提供、または財産上の給付
②被相続人の療養看護
③その他の方法

により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときに寄与分が認められます。

寄与分が認められる相続人の相続分は、原則として『(相続開始時の財産-寄与分)×法定相続分+寄与分』となります。

具体的には、被相続人の遺産が現金500万円、法定相続人が配偶者、長男、長女であり、長男に100万円の寄与分が認められる場合、各人の具体的相続分は次のとおりです。

みなし相続財産 500万円(遺産)-100万円(寄与分)=400万円
配偶者   400万円×1/2=200万円
長男    400万円×1/4+100万円=200万円
長女    400万円×1/4=100万円

寄与分の認定では、あくまで特別な寄与を行なっていることが要件になりますので、一般的な貢献や扶養にとどまる範囲では、寄与分は認められません。例えば、相続人の1人が、被相続人と同居し、被相続人の負担のもとデイサービスなどを利用しながら身の回りの世話をしていた場合、寄与分が認められないことが多いと考えられます。

寄与分はまず共同相続人全員の協議により定めますが、協議がまとまらないときには、家庭裁判所に調停、審判の申立てをすることになります。

寄与分に関しても、争点となる場合にはもめるケースが多いので、寄与分に該当するかどうか不明な場合や、寄与分が争点になってもめてしまいそうな場合は、相続の専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

※民法改正により、相続人以外の物の貢献を考慮するための制度として。特別の寄与制度が新設されました。詳しくは弁護士にご相談ください。