【コラム】無権代理と相続 本人が無権代理人を相続した場合

無権代理と相続 本人が無権代理人を相続した場合

民法は、代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない旨規定しています(民法第113条1項)。

 

また、民法第117条1項は、他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明することができず、かつ、本人の追認を得ることができなかったときは、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う旨規定しています。 

寺部先生.pngのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像
それでは、無権代理行為が行われた後、無権代理人が死亡し、本人が相続した場合、無権代理行為の効力はどのようになるのでしょうか。

 

本人が無権代理人を共同相続した事案において、最高裁判所の裁判例には、「民法117条による無権代理人の債務が相続の対象となることは明らかであって、このことは本人が無権代理人を相続した場合でも異ならないから、本人は相続により無権代理人の右債務を承継するのであり、本人として無権代理行為の追認を拒絶できる地位にあったからといって右債務を免れることはできないと解すべきである。

 

まして、無権代理人を相続した共同相続人のうちの1人が本人であるからといって、本人以外の相続人が無権代理人の債務を相続しないとか債務を免れうると解すべき理由はない。」旨判示したものがあります。 相続について分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。