【コラム】法定相続分の預金の払い戻し

法定相続分の預金の払い戻し

従前、銀行預金は、遺産分割の対象外であると考えられており、
その結果、法定相続人全員の合意がない場合でも、法定相続人の一部が、その法定相続分に相当する預金を払い戻すことが認められていました。
平成28年12月、最高裁判所は、銀行預金が遺産分割の対象になると判断し、過去の裁判例を変更しました。
それでは、平成28年12月の最高裁判所の判断が示された後、共同相続人の一部が、銀行に対し、その法定相続分に相当する預金の払い戻しをすることは認められるのでしょうか 。
 
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最高裁判所は、平成29年4月、「共同相続された普通預金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである」「共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、
いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである」旨判示しました。
この裁判例では、法定相続人の一部が信用金庫に対し、被相続人の預金について、法定相続分相当額の預金の支払を求めた事案で、預金の支払請求を認めませんでした。
今後、実務がどのように変化するか注目したいと思います。

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