【コラム】遺留分減殺請求権の代位行使
遺留分減殺請求権の代位行使
例えば、被相続人が死亡し、法定相続人が長男、二男の2人の子であり、被相続人が生前全ての財産を長男に相続させるという内容の公正証書遺言を作成していたケースで、二男の債権者は、二男の遺留分減殺請求権を債権者代位権の目的とすることができるかという問題があります。
債権者代位権を規定する民法423条1項ただし書には、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない旨の規定があります。したがって、債務者の一身専属権は、債権者代位権の目的にはなりません。
その一方で、民法1031条は、遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる旨規定しています。
ここでは、遺留分権利者だけでなく、その承継人にも遺留分減殺請求を認めています。
ここでは、遺留分権利者だけでなく、その承継人にも遺留分減殺請求を認めています。
そこで、遺留分減殺請求権を債権者代位権の目的とすることができるか、問題となります。
最高裁判所の裁判例には、「遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合を除き、債権者代位の目的とすることができないと解するのが相当である。」旨判示したものがあります。
最高裁判所は、その理由のなかで、「遺留分減殺請求権は、前記特段の事情がある場合を除き、行使上の一身専属性を有すると解するのが相当であり、民法423条1項ただし書にいう「債務者ノ一身ニ専属スル権利」に当たるというべきであって、遺留分権利者以外の者が、遺留分権利者の減殺請求権行使の意思決定に介入することは許されないと解するのが相当である。」旨指摘しています。
また、最高裁判所は、上記民法1031条が、遺留分権利者の承継人にも遺留分減殺請求権を認めていることについては、帰属上の一身専属性を有しないことを示すものにすぎない旨を指摘しています。
このように、遺留分減殺請求権は、原則として、債権者代位権の目的とはならないと考えられますが、遺留分権利者が遺留分減殺請権を行使する確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情がある場合は、除かれますので、注意が必要です。
遺留分減殺請求権について分からないことがございましたら、弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
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