相続人のなかに勘当された人がいるのですが、その人も遺産分割協議の当事者になるのでしょうか?

私の父は、昨年、死亡しました。

私の父は、遺言を残していません。

私の父の子は、私と兄です。私の母は、3年前に死亡しました。

私の父の遺産は、自宅の土地、建物と預金です。

私の兄は、私の父と折り合いが悪く、私の父は、私の兄を勘当すると言い、私の兄は、自宅を出て、私の父とも、私とも音信不通になりました。

私の兄は、その後も、私の父や私に連絡先を伝えることもありませんでした。私の兄は、私の父が入院したときに見舞いに来ることも、私の父の通夜、葬儀に参列することもありませんでした。

私が父の死亡後、戸籍を調べたところ、私の兄は、生涯、結婚をしておらず、子供もいません。

私は、父の遺産について、私の兄と遺産分割の協議をしなければならないのでしょうか。

被相続人が、その子を勘当していても、民法上の制度ではありませんので、子として、相続人となります。

遺産分割協議は、法定相続人全員を当事者とする必要があります。

なお、民法は、推定相続人の廃除という制度を定めています。

民法は、遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる旨規定しています。

本件で、被相続人が生前家庭裁判所に相続人の廃除の手続をし、家庭裁判所が廃除を認める審判をし、これが確定していたときは、廃除された推定相続人は、相続権を喪失します。

また、民法は、被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない旨規定しています。もっとも、本件では、遺言はないとのことですので、この規定の適用は問題にならないと思われます。