【Q&A】被相続人死亡後の預金の払い戻しは、どのように扱われますか?

【Q&A】被相続人死亡後の預金の払い戻しは、どのように扱われますか?

事務員:被相続人が死亡した後、相続人の一人が、被相続人名義の預金を払い戻すということがありますが、この場合、どのように扱われるのですか?
 
弁護士:まず、当該相続人が、自らが払い戻したこと、払い戻した預金を自己の取得分とすることを認めれば、特段、問題にならないと思います。
 
事務員:民法で、相続法が改正になったのですが、この部分は変更ありますか?
 
弁護士:民法906条の2第1項は、「遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。」旨規定しています。
 
事務員:この条文は、いつから施行されるのですか?
 
弁護士:令和元年7月1日から施行されます。
    もっとも、令和元年7月1日前に開始した相続については、なお従前の例によります。
 
事務員:当該相続人が、自ら払い戻したことを争った場合には、どうなりますか?
 
弁護士:その場合、他の相続人は、当該相続人が払い戻したことをどのように立証するか、問題になると思います。
 
事務員:当該相続人が自ら払い戻したことを認め、使途を説明したものの、遺産から支出することについて、他の相続人全員が相当でないと判断した場合は、どうですか?
 
弁護士:民法906条の2第2項は、「前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。」旨規定しています。
    この規定の活用の検討を含め、弁護士に相談してはいかがでしょうか。
 
事務員:民法の改正により、遺産分割の調停の実務にも影響を与えることがでてきますね。
    私も勉強しなくっちゃ。