予備的遺言
予備的遺言
私は、会社員として働いていましたが、既に退職し、年金収入だけで生活しています。
私には、長男と長女がいます。私の妻は、昨年、死亡しました。
私の長女は、遠方に暮らしており、お盆や正月にも私の家に来ることがないので、私は、全ての財産を長男に相続させる内容の遺言を作成しようと思っています。遺留分という制度があることは知っていますが、私は、長男に全部の財産を相続させる旨の遺言を残したいと思っています。
また、私の長男には、子供が一人いますので、私より先に長男が死亡したときには、長男の子に全部の財産を相続させたいと考えています。
私は、全部の財産を長男に相続させる旨の遺言を作成しておけば、私の長男が先に死亡したときには、私の財産は、長男の子に相続されるのでしょうか。
弁護士の回答
最高裁判所の裁判例には、「「相続させる」旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはないと解するのが相当である。」旨判示したものがあります。
したがって、単に全部の財産を長男に相続させる旨の遺言をしても、遺言者より長男が先に死亡した場合、上記特段の事情のない限り、遺言は、効力を生じないと考えられます。
そこで、遺言者に長男と長女がいて、長男が先に死亡した場合、長男の子に相続させたい場合には、例えば、長男が遺言者と同時又は先に死亡したときは、長男の子に全ての財産を相続させる旨の予備的遺言を加えるなどの対応が必要であると思います。
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