【コラム】特別縁故者に対する相続財産の分与と不動産の共有

特別縁故者に対する相続財産の分与と不動産の共有

民法255条は、共有者の一人が、その持分を放棄したとき、
又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する旨規定しています。
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他方、民法958条の3第1項は、前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる旨規定しています。民法958条の3は、相続人の不存在を前提としていると考えられます。


それでは、共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定したときは、民法255条と民法958条の3は、いずれの規定が優先して適用されるのでしょうか。

最高裁判所の裁判例には、
「共有者の1人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法255条により他の共有者に帰属することになると解すべきである。」旨判示したものがあります。

したがって、民法958条の3の規定が優先して適用されると考えられます。
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