【コラム】遺産分割の対象と預貯金

遺産分割の対象と預貯金

預貯金は、遺産分割の対象となるかという問題に関し、最高裁判所は、従前、相続財産中に可分債権があるときは、その債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割される旨判示していました。
したがって、従前の最高裁判所の裁判例によれば、銀行の預金は、原則として、遺産分割の対象にならないと考えられます。

 
家庭裁判所では、遺産分割調停手続において、預貯金については、法定相続人全員の合意があれば、遺産分割の対象となるとすることが一般的な実務の取り扱いであると思います。
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例えば、遺産が預金のみであり、被相続人から、相続人の一人に対し、民法の特別受益に該当するような多額の生前贈与があった場合、預金が遺産分割の対象に含まれないとすると、特別受益を主張する機会がなくなる可能性があります。

この問題に関し、平成28年10月19日、最高裁判所の大法廷において、弁論が開かれました。
最高裁判所の大法廷で弁論が開かれると、過去の判例が変更になる可能性があります。
最高裁判所の判断に注目したいと思います。