会社経営者のための相続ー事前対策編ー
はじめに
株式会社の経営者の方にとって、万一のことがあったときに、会社の経営や従業員のことなどについて、心配だと思います。
事前に対応をしておかないと、相続が開始した後、いつまでも遺産の帰属が決まらず、会社の経営が停滞することにもなりかねません。
ここでは、株式会社の経営者の方のための相続の事前対策を、民法の視点から、ご説明します。
なお、このコラムでは、小規模企業の株式会社の経営者の方で、過半数の株式を保有している方を前提にご説明いたします。
遺言がない場合
株主総会は、会社の最高の意思決定機関です。
株主総会の普通決議事項は、定足数を満たしたうえで、出席株主の過半数で決します。
たとえば、株式会社の経営者の方が亡くなり、その方が株式の全部を保有しているときには、遺言がない場合には、相続人間で遺産分割の協議がまとまらないと、株式の帰属が決まらず、会社の重要事項に関する意思決定が滞る可能性もあります。
また、株式会社の取締役が会社の代表権を有する経営者の方だけである場合、その方が亡くなると、株式会社の業務執行をどうするかという問題も生じます。
そこで、株式会社の経営者の方の事前対策としては、株式をスムーズに相続人に帰属させることがポイントになると思います。
公正証書遺言の作成
当事務所では、原則として、公正証書遺言を作成することをおすすめしています。公正証書遺言が存在し、すべての遺産の帰属が明確になっていれば、原則として、遺産分割の協議をする必要がありません。
公正証書遺言を作成し、遺言執行者が指定されていれば、通常、財産の承継がスムーズに進むと考えられます。
なお、公正証書遺言を作成するにあたり、遺留分について、どのように対応するか、検討する必要があると思います。
まとめ
経営者の方の相続の事前対策については、財産の承継だけでなく、税務の問題なども検討する必要があると思います。
当事務所では、税理士の先生とも協力をしながら、対応をさせていただいております。
相続について、分からないことがございましたら、弁護士までご相談ください。
なお、このコラムでは、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」については、触れていませんので、あらかじめご了解ください。