相続登記について、弁護士が解説いたします

1 はじめに

被相続人が死亡し、被相続人の遺産のなかに不動産が存在する場合、法定相続人間で、遺産分割の協議が調ったときなどには、通常、相続登記が必要になります。

相続登記をしないと、当該不動産が亡くなった方の名義のままになってしまい、そのままでは、当該不動産を売却したり、抵当権などの担保権を設定することができません。

また、法改正により、相続登記が義務化されるので注意が必要です。

2 遺産分割と登記

遺産分割の協議が成立した場合、遺産分割の調停が成立した場合、遺産分割の審判が確定した場合などには、遺産分割に基づき、相続登記を行います。

3 遺言と登記

公正証書遺言があり、公正証書遺言の内容から、相続登記ができる内容である場合、家庭裁判所において自筆証書遺言の検認手続が完了し、その内容から相続登記ができる自筆証書遺言がある場合などには、遺言に基づき、相続登記を行います。

4 共同相続の登記

被相続人が死亡し、相続人が複数あるときは、相続財産は、その共有に属します。

遺言がなく、遺産分割の協議を行う場合、遺産分割の協議が成立するまでの間、共同相続の登記は行わないことが一般です。

もっとも、相続人の債権者が債権保全のために行う場合や相続人の事情によって、共同相続の登記がなされる場合もあります。

5 配偶者短期居住権、配偶者居住権と登記

(1)配偶者短期居住権の意味

配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、居住建物について無償で使用する権利を有します。

①居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 

遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6箇月を経過する日のいずれか遅い日

②前号に掲げる場合以外の場合

居住建物取得者から配偶者短期居住権の消滅の申し入れをした日から6箇月を経過する日

(2)配偶者短期居住権と登記

配偶者短期居住権を登記することはできません。

(3)配偶者居住権の意味

被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利を取得します。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りではありません。

①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき

②配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき

(4)配偶者居住権と登記

配偶者は、配偶者居住権の登記をすることができます。

居住用建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います。

配偶者居住権の登記がなされると、登記された後に居住用建物を取得した者にも配偶者居住権を対抗することができます。

6 まとめ

被相続人が亡くなり、遺産のなかに不動産がある場合、通常、相続登記が必要になります。

当事務所では、遺産分割協議書の作成、遺産分割の調停、審判の代理、相続放棄手続の代理、遺言についての助言などを行っています。

登記手続は、協力関係にある司法書士の先生をご紹介させていただいております。

相続が発生したら、弁護士までご相談ください。