相続財産の破産と相続放棄、限定承認
相続財産の破産
相続財産の破産
破産法は、相続財産の破産の制度を規定しています。
相続財産破産の申し立て
相続財産破産の申し立てができるのは、①相続債権者②受遺者③相続人④相続財産の管理人⑤相続財産の清算人⑥遺言執行者(相続財産の管理に必要な行為をする権利を有する遺言執行者に限る)です。
相続財産破産の申し立て期間
相続財産については、民法941条第1項の規定により財産分離の請求をすることができる間に限り、破産手続の開始の申し立てをすることができます。
ただし、限定承認又は財産分離があったときは、相続債権者及び受遺者に対する弁済が完了するまでの間も、破産手続開始の申し立てをすることができます。
相続財産破産と相続人の責任
問題の所在
被相続人が死亡し、被相続人について、相続財産破産がなされた場合、相続財産破産の手続きで弁済されなかった債務について、相続人に請求できるか、問題となります。
裁判例
下級審の裁判例ですが、「相続財産の破産に限定承認と同様の効果を与えている立法例もあるが、わが国の相続財産破産の制度がこれを採用していないことは明らかであり、右のような明文の定めがない以上、相続財産に対して破産宣告がなされても、相続人において放棄又は限定承認をしておかなければ、相続人は右破産手続の中で弁済されなかった債務を自己の固有財産によって弁済する責を負うことになると解すべきである。」旨判示したものがあります。
まとめ
相続財産破産が問題となるケースでは、相続人の立場では、相続放棄、限定承認などを検討する必要があります。
相続放棄、限定承認ができる期間は、民法に規定されていますので、注意が必要です。
債務の問題、相続の問題について分からないことがございましたら、お早めに弁護士までご相談ください。