遺言・信託について、弁護士が解説いたします

はじめに

「子供の仲が悪いので、トラブルを未然に防ぐために、遺言書を作りたい」

「事業承継が円滑に進むように遺言書を作成したい」

「内縁の妻に財産を残したい」

「先妻との間に子供があり、自分の死後に後妻ともめないか心配」

「子供がいないので、財産の分け方をあらかじめ決めておきたい」

「今まで親に迷惑をかけてきた息子には、極力財産を残したくない」などのお悩みを抱えた方からご相談をいただくことがあります。

一方、親の財産を相続する子供の側からも、「兄弟に親の財産を奪われてしまうのではないか?」などのご相談をいただくこともあります。

相続においては、相続する側にも、相続される側にも、上記のような心配がつきまとうものです。

「相続はもめると聞くけれど、自分のところは大丈夫」と思っていても、実際に相続が発生した場合に、兄弟の態度が急変することもあります。

相続トラブルを未然に防ぐためには、遺言を書くことが重要になります。

しかし、実際には、ほとんどの方が遺言を初めて書くため、法律的に有効な遺言を作成するためには、どうすれば良いか分からないことも少なくありません。

以下、主な遺言の形式である自筆証書遺言と公正証書遺言について、説明します。

自筆証書遺言

(1)自筆証書遺言は、原則として、遺言の全文、日付及び氏名を自筆で書き、押印する形式の遺言です。

ただし、民法は、一定の要件のもと、自筆証書遺言の一部について、自書することを要しないものを認めています。

(2)自筆証書遺言のメリット、デメリット

自筆証書遺言のメリットとしては、自由に作成し、書き直すことができること、作成するコストが安いことなどです。

一方、デメリットとしては、原則として家庭裁判所の検認の手続きが必要であること、遺言書が発見されないリスクがあること、紛失、偽造等のリスクがあることなどがあげられます。

(3)自筆証書遺言の保管制度

法務局における遺言書の保管等に関する法律に基づき、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が創設されています。

遺言書保管所に保管されている自筆証書遺言については、家庭裁判所の検認手続は、不要です。

公正証書遺言

(1)公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証人が作成する遺言です。

(2)公正証書遺言のメリット、デメリット

公正証書遺言は、公証人が作成するので、様式不備で無効となるリスクは、非常に少ないと思います。

公正証書遺言は、家庭裁判所の検認手続が不要です。

また、公正証書遺言の原本は、公証役場で保管しますので、紛失、偽造のリスクはありません。仮に、公正証書遺言の謄本を紛失しても、公証役場で、原本に基づき、謄本を発行してもらえます。

一方、公正証書遺言は、費用がかかるというデメリットがあります。

(3)当事務所では、費用はかかるものの、無効となるリスクの少ない公正証書遺言をおすすめしています。

遺言について、弁護士に相談すべき理由

自筆証書遺言については、ご本人が作成をした場合、例えば、日付を書き忘れた、押印を忘れたなどの形式的なことであっても、無効になってしまいます。

また、公正証書遺言について、ご本人が公証役場に行って、説明等を聞いて、必要な資料を集めたり、公証人とやりとりをしたりすることは、容易でない場合もあります。

弁護士に相談をすれば、弁護士の助言を受けながら、手続きを進めることができます。

事案によっては、弁護士が、公正証書遺言の証人となる場合があります。

また、遺言の内容によっては、遺留分の問題が生じる場合がありますが、遺留分についても、あらかじめ弁護士の説明を聞いておくことができます。

まとめ

遺言について、分からないことがありましたら、弁護士までご相談ください。